ペット禁止だと分っていても、どうしても欲しくて飼ってしまった・・・。
ペット可のお部屋が見つからず・・・こっそり・・・。
捨てられているのを見て放っておけなくなってお持ち帰り・・・。
ついに大家さんにバレてしまって賃貸借契約解除の話に!
なんて事例はよくある話です。実際に困っているのは大家さんなのですが、契約解除されるのも困りますよね。
今回は「ペット禁止物件で内緒でペットを飼っていると賃貸契約を解除されるのか?」について解説していきます。
大家さんからの賃貸借契約解除の申し出が認められる場合とは?
まずは、一般的に大家さんから賃貸借契約解除の申し出が認められる場合とはどんなときなのか説明していきます。
一方的に契約解除をいきなり申し出されるということはほとんど無いと思います。
契約解除の話になる前に通告や勧告があるはずです。
賃貸借契約は貸主と借主の間の信頼関係でなりたっています。その信頼関係はあるのかどうか、破綻してしまっているのかどうかが賃貸借契約解除に大きく関わります。
そのため、賃貸借契約の解除が認められる場合というのは限定されています。
無断転貸・無断賃借権譲渡
無断で又貸し、無断で譲渡することは許されていません。
又貸しされていても気付かれにくいので、そのままでいいやと思っていたらいきなり契約解除になることだってあります。
これは民法612条で認められています。
一時的に友達や恋人を同居させていた場合や、配偶者や子どもを自分の代わりに住ませている場合は「転貸」とみなされない場合が多いです。
「転貸」の定義が状況によって異なるのです。
債務不履行
「債務」とは何かをしないといけない権利のことです。ここで言う何かとは賃貸借契約を守るということになります。
ペット禁止の物件でペットをこっそり飼うというのは契約を守っていないことになるのでこの「債務不履行」に当てはまります。
これは民法541条によって定められていますが、実際には様々な要素によって解除が認められるかどうかが判断されます。
このように、法律では賃貸借契約の解除が認められると定められていてもその法律が執行されるかは状況によって異なるので、ペット禁止物件でペットを飼っていたからといって契約解除になるとは一概には言えないのです。
結局は大家さんとの信頼関係に基づく
契約書にペット禁止と書いてあっても大屋さんから「ペット飼ってもいいよ」などと口約束を交わした場合は、ペットを理由に契約解除が認められるのはかなり難しくなります。
大家さんとの信頼関係を基にこのような約束をしているからです。
しかしペット禁止物件でペットを飼うのは当然、契約違反になります。
ペットが苦手な人、アレルギーがある人などペットがいることで迷惑をこうむる人から苦情が来た場合は大家さんと入居者間での信頼関係は破綻されたと判断されます。
この場合は契約解除が認められます。
どちらにしても、貸主と借主との信頼関係がこの件の要になるのです。
誰にも迷惑をかけていない!黙示の承認とは
借主がペットを飼っているのを知っていて、家賃は払っているし、誰かから苦情がきているわけでもないし・・・ここはちょっと様子をみよう。
と大家さんがこのような対応をした場合、黙示の承認を得ていると考えられます。
この場合は大家さんとの信頼関係はあるとされるので、契約解除をいきなり申し出ても認められない場合があります。
契約解除の流れ
いきなり契約解除を申し出されるということはありません。
ペットを飼っていることが判明してしまったら、まずは大家さんから飼育禁止・飼育改善を求められます。
電話など口頭での注意の場合もありますが、証拠を残すために内容証明郵便が送られてくることも多いです。
一般的に○月○日までに飼育を中止しない場合は賃貸借契約を解除するという文言が記載されています。
さらに、立ち退かない場合は訴訟などに発展する旨も記載されています。
契約解除だけでなく、退去後の部屋の原状回復についての問題も出てきます。
ペットを飼っていると通常よりも損耗が多くなり、原状回復費用が多くかかってしまうことがあります。その金額は数十万に及ぶ事例も・・・。
新しい物件への引越し費用や原状回復費用など、賃貸借契約を違反すると大きな負担が自分に返ってくることになりますし、引越し費用がなくてペットを手放さざるをえない事態になることだってあります。
ルールはしっかり守って、必要なときは大家さんに相談をしながら信頼関係を築いていくことが大事です。